小豆島町商工業振興計画

 塩田幸雄 元小豆島町町長より小豆島商工業振興審議会会長を仰せつかり、計画に関わらせていただきました。この計画についてのお考えをお示しいただいた町長ブログを以下に示します。

 小豆島町の地場産業と地元商店が苦戦しています。町民の一人当たり所得ももう長い間、香川県内の市町のなかで、最低の水準が続いています。  
 小豆島町商工業振興条例があって、町長は、商工業の振興計画を策定することになっているのに、そのための商工業振興審議会は開かれず、計画は作られていません。  
 私は、町長になって7年も経つのに、その条例の存在すら知りませんでした。申し訳ないことでした。そのことを知って、速やかに計画を作ろうと思いました。この機会に、小豆島の商工業に限らず、産業全体の現状と課題を検証し、これからのあり方を考え、やるべきことをやろうと思いました。
 審議会の委員会は、委員15人以内で組織すると条例で決められていたのですが、それに限らず、関係する皆さんに、できるだけたくさん集まっていただき、きちんと議論してもらうことにしました。
 会長には、かねてお世話になっていた、冷凍食品で有名な「加ト吉」の元研究所長で香川短期大学教授の竹安宏匡教授にお願いし、地元の商工業に関わる皆さんだけでなく、四国経産局、ジェトロ香川、かがわ産業支援財団など、県内の有識者にも議論に参加してもらいました。  
 さらに、狭い意味の商工業だけでなく、1次産業の農業、漁業、医療、福祉、など幅広い皆さんにも参加してもらいました。こころ強いことに、小豆島出身で日清食品ホールディング副社長だった中川晋さんが会社を退職され、小豆島でも暮らすこととされていたので、議論に加わってもらうこともできました。  
 平成28年7月の第1回以来、8回の議論を経て、町議会にも議論の経過を報告し、この度「小豆島町商工業振興計画」をまとめることができました。
 計画は、「産業づくりのビジョン」「今後の取組み」「産業の状況」の三部構成からなります。計画の期間は設けていません。「産業づくりのビジョン」は、中長期的な小豆島の産業のビジョンを示したものです。5年先、10年先のビジョンとも言えますが、100年先のビジョンとも言えます。  
 「今後の取組み」は、毎年の取組み、数年の取組みです。毎年、策定します。「産業の状況」は、産業の現状データです。  
 「小豆島町商工業振興計画」は、計画をつくること以上に、皆なで一緒に考え、議論するプロセス、共通のビジョンのもとに、それぞれが様々な取組みをし、常に原点に返りながら、また、状況に応じて、ステップアップすることに意味があると考えています。  
 こうした考えのもと、「計画」らしい堅苦しいかたちにせず、PDCAサイクルも、同じサイクルのなかで、ぐるぐる回るようなものになってはいけないので、あえて記載せず、本質的な変化に対応し、発想を転換して、いつでもステップアップできるように、柔軟に対応していくことにしています。  
 「産業づくりのビジョン」は、6つの分野に分けて考えました。「地場産業」「農業・漁業」「オリーブ」「文化・アート」「医療・福祉・教育・子育ち」「観光・国際化」です。  
 いろいろな考え方があると思いますが、それぞれの分野は、互いにつながりを持ちながら、産業の新しい可能性をひろげていきます。特に、醤油、素麺、佃煮などの食品産業を地場産業で発展してきた小豆島は、人びとの暮らしと社会の源である“食”に心をこめて産業をつくっていこうと思います。(続く)(平成29年4月18日)